月2万円の失踪人
2025年11月19日
図解 秘探偵・調査マニュアル
渡邉 直美
若い女性(22歳)が疲れ果てた面持ちで失踪人探しの依頼にやってきた。失踪してしまったのは土木作業員をやっている同い年のご主人。いわゆる”できちゃった結婚、だったが、貧しいながらも子供と3人で幸せな生活生活を送っていたのだという。もちろん、ご主人は彼女に手をあげたこともなく、ギャンブルや女遊びにも無縁な人だったという。
ところが、数日前いつもと同じように「行ってきます」と家を出て、現場に行ったっきり二度と帰ってこなかったのだという。作業事務所に尋ねたところ、「突然辞めるって言い出しましてね、その日までの給料を渡しました」とのこと。
私が「ご主人の写真を持ってきてください」とお願いしたところ、驚くべきこと
が判明した。なんと、数冊あったはずのアルバムが跡形もなくなっていたのだ!!!
つまり、対象者の失踪はきわめて計画的なものだったということだ。しかし、いくら聞いても失踪の理由に心当たりはないというし、実際なさそうだった。このように、計画的な失踪の場合、発見することはかなり困難を要する。しかも、顔写真もないとなると....。
案の定、半年たってもまったく手がかりはつかめなかった。これはもうダメかも知れないと思った矢先、依頼者から「主人から2万円が入った現金書留が送られてきました」という連絡が。その日はちょうど子供の誕生日。やはり子供のことは気にかけていたのだろう。
私は依頼者とともに、その現金書留が投函された郵便局へと向かった。私たちは理由を説明し、郵便が投函された日のビデオを見せてもらった(失踪人届を出していると合法的に見せてもらうことができる)。すると、そこにはまぎれもない対象者の姿が!!
それから1ヵ月毎に対象者から現金書留が届くようになった。中身はなぜか常に2万円。そして、投函場所は毎月異なっていた。私たちは最後の手段として、またもやローラー作戦を敢行することにした。現金書留が届いたと同時に投函されたと思われる地域に、大人数のスタッフで乗り込み、おそらく対象者が働いているであろう工事現場をシラミ潰しにあたっていくのだ。
進備ができて数日後、依頼者から現金書留が届いたと連絡があった。消印は滋賀県の某所。我々は早速、例の郵便局で入手したビデオから起こした写真を片手に、印の部便局周辺の工事現場すべてで聞き込みを開始した。すると、現場監督らしい男性が声を掛けてきた。「あんたたち、〇〇を探してんのかい?」〇〇とは、対象者の友人の名前だった。失踪人が友人の名前をることはよくあることなので、私はピンときた。「はい、そうです」私は彼に言った。すると彼は、「〇〇、奥さんのために金を貯めなくっちゃいけないって、ずいぶん一生懸命働いていたよ。奥さん名義の貯金通帳を持っているらしかったなぁ。今度会ったら、連絡するように言っておくよ」
彼の言葉は意味深だった。私は彼が対象者の居場所を知っていると感じた。しかし、どこにいるか聞いてもおそらく答えてくれないこともわかっていた。彼らの結東は驚くほど固いからだ。
数日後、依頼者の元に例の現場監督から電話があった。「今、〇〇が隣にいるから電話かわるよ」次に電話に出た男性はまぎれもなく対象者だった。彼は「理由は聞かないでくれ。おまえ達のことを忘れたわけじゃない。いつかは帰るから待っててくれ」と言っただけで電話を切ってしまった。
後日、奥さん名義の貯金通帳がたしかにあることが判明した。残高は、なんと600万円!! 奥さんのためにお金を貯めているというのは本当だったのだ。しかし、彼がなぜ失踪したのかは未だ謎のままだ。そして、残念ながら今も彼は家に帰ってこない......。
ところが、数日前いつもと同じように「行ってきます」と家を出て、現場に行ったっきり二度と帰ってこなかったのだという。作業事務所に尋ねたところ、「突然辞めるって言い出しましてね、その日までの給料を渡しました」とのこと。
私が「ご主人の写真を持ってきてください」とお願いしたところ、驚くべきこと
が判明した。なんと、数冊あったはずのアルバムが跡形もなくなっていたのだ!!!
つまり、対象者の失踪はきわめて計画的なものだったということだ。しかし、いくら聞いても失踪の理由に心当たりはないというし、実際なさそうだった。このように、計画的な失踪の場合、発見することはかなり困難を要する。しかも、顔写真もないとなると....。
案の定、半年たってもまったく手がかりはつかめなかった。これはもうダメかも知れないと思った矢先、依頼者から「主人から2万円が入った現金書留が送られてきました」という連絡が。その日はちょうど子供の誕生日。やはり子供のことは気にかけていたのだろう。
私は依頼者とともに、その現金書留が投函された郵便局へと向かった。私たちは理由を説明し、郵便が投函された日のビデオを見せてもらった(失踪人届を出していると合法的に見せてもらうことができる)。すると、そこにはまぎれもない対象者の姿が!!
それから1ヵ月毎に対象者から現金書留が届くようになった。中身はなぜか常に2万円。そして、投函場所は毎月異なっていた。私たちは最後の手段として、またもやローラー作戦を敢行することにした。現金書留が届いたと同時に投函されたと思われる地域に、大人数のスタッフで乗り込み、おそらく対象者が働いているであろう工事現場をシラミ潰しにあたっていくのだ。
進備ができて数日後、依頼者から現金書留が届いたと連絡があった。消印は滋賀県の某所。我々は早速、例の郵便局で入手したビデオから起こした写真を片手に、印の部便局周辺の工事現場すべてで聞き込みを開始した。すると、現場監督らしい男性が声を掛けてきた。「あんたたち、〇〇を探してんのかい?」〇〇とは、対象者の友人の名前だった。失踪人が友人の名前をることはよくあることなので、私はピンときた。「はい、そうです」私は彼に言った。すると彼は、「〇〇、奥さんのために金を貯めなくっちゃいけないって、ずいぶん一生懸命働いていたよ。奥さん名義の貯金通帳を持っているらしかったなぁ。今度会ったら、連絡するように言っておくよ」
彼の言葉は意味深だった。私は彼が対象者の居場所を知っていると感じた。しかし、どこにいるか聞いてもおそらく答えてくれないこともわかっていた。彼らの結東は驚くほど固いからだ。
数日後、依頼者の元に例の現場監督から電話があった。「今、〇〇が隣にいるから電話かわるよ」次に電話に出た男性はまぎれもなく対象者だった。彼は「理由は聞かないでくれ。おまえ達のことを忘れたわけじゃない。いつかは帰るから待っててくれ」と言っただけで電話を切ってしまった。
後日、奥さん名義の貯金通帳がたしかにあることが判明した。残高は、なんと600万円!! 奥さんのためにお金を貯めているというのは本当だったのだ。しかし、彼がなぜ失踪したのかは未だ謎のままだ。そして、残念ながら今も彼は家に帰ってこない......。